不動産を保有していると「高齢になり脱大家したい。」「次世代にかかる相続税が心配・・。」「子どもに承継すべき不動産はどれか?」「そもそも後継者がいない。」「法人化したものの廃業すべきか」などと悩んでいる方は少なくありません。
第1部「相続と事業承継とは?」
第2部「相続・事業承継の事前対策は?(個人編)」
第3部「相続・事業承継の事前対策は?(法人編)」
以上3部構成で掲載します。今回は第1部「相続と事業承継とは?」について掲載します。
A:承継する対象が、相続の場合は個人(被相続人)の財産、事業承継の場合は法人または事業そのものです。相続では相続開始や法定相続人は民法に定められていますが、事業承継ではそのような定めはなく、誰にいつ事業相続するか経営者の判断によります。
A:事業を後継者に引き継ぐことです。親族、従業員、第三者など誰に承継するか、事業承継といってもその手法は様々です。
投資用不動産などを所有する不動産会社は年々増加していますが、従業員の少ない法人が多く、後継者不足に悩むことも少なくありません。かといって不動産会社の廃業には1年はかかるといわれ
などの手続きも煩雑です。
事業承継を選択することにより廃業の手間がかからず、また事業を後継者に承継することにより、創業者利益が得られることもあります。親族、従業員など後継者を検討したもののいない場合は、第三者への事業譲渡(M&A)や不動産の現物売却も選択肢となります。早めに方針を決めて対策をとることが必要です。
株式譲渡による事業承継(M&A)は株式の移転ですから、買主に不動産取得税や登録免許税はかかりません。法人が株主の場合は株式譲渡による利益は他の法人所得とあわせて法人税が課税されます。
事業譲渡による事業承継(M&A)は、買主に課税資産に対する消費税がかかります。課税資産とは建物・器具備品などであり、また、取得した不動産について不動産取得税や登録免許税が課税されます。売主である法人は、事業譲渡による利益が生じれば法人税を支払い、買主から預かる消費税を納税します。
不動産などの現物売却は、売却益が生じれば法人税が課税されます。法人の他の資産や負債と分離して不動産そのものを売却することができます。
「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(経営承継円滑化法)に基づく認定のもと、法人や個人事業の後継者が取得した一定の資産について、贈与税や相続税の納税を猶予する制度です。この事業承継税制には、法人の株式等を対象とする「法人版事業承継税制」と、個人事業者の事業用資産を対象とする「個人版事業承継税制」があります。
「法人版事業承継税制」についてですが、原則として資産管理会社は事業承継税制の対象外となります。資産管理会社は、資産保有型会社と資産運用型会社があり、資産保有型会社は総資産の70%以上が有価証券などの特定資産であること、資産運用型会社は総収入金額の75%以上が特定資産の運用収入であることが該当要件です。ただし、資産管理会社が全て適用外というわけではありません。三つの『事業実態要件』を満たせば、資産管理会社と判断された不動産会社も事業承継税制の対象となります。
事業所は賃貸でも所有しているものでも構いません。ただし自宅や親族の家などではなく、専用の事業所が必要です。全ての要件を満たすことで、資産管理会社でも事業実体があると認められ、事業承継税制の対象となります。
相続・事業承継にあたり、共通するのは、このような事業承継を支援する制度の活用を検討したり、相続時ないし事業承継時の評価をしっかりと行うことが重要です。評価によって相続税の負担が増加したり、事業承継によるメリット・デメリットが変わってきます。どの事業承継の手法を選択するのがよいのか検討するにあたっても保有不動産の評価が必要です。ご所有不動産の査定やマーケット調査を行いご所有不動産の最適化を目指したソリューションを提供してくれる不動産会社を選定する必要があります。相続・事業承継にあたり、保有している不動産の査定についてご相談したい方はぜひ三井不動産リアルティへお問い合わせください。
税務監修
税理士法人エーティーオー財産相談室
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